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アカウント ロックアウト トラブルシューティング (第二回) –アカウント ロックアウトの調査方法

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第一回 ではアカウント ロックアウトの仕組みと主な要因について解説しました。しかしながら、誤ったパスワードは、ユーザーが普段使用しているクライアントに設定されているとは限りません。第二回目の本稿では、誤ったパスワードを設定しているコンピューターを特定するための方法について解説します。

 

アカウント ロックアウトの調査の流れ

アカウントロックアウトの調査は、次の順番に作業を進めます。

STEP1: 監査ログの有効化

STEP2: 認証元の特定

STEP3: 原因の特定

 

STEP1:  監査ログの有効化

ドメイン コントローラー全台で下記の監査の設定 (成功と失敗の両方) を有効にして、どのコンピューターから誤った認証が行われているか確認します。

「アカウント ログオン イベントの監査」
「アカウント管理の監査」
「ログオン イベントの監査」

003_audit_policy

 

[Tips] 監査ログの適用先

ドメインのグループ ポリシーで設定する場合は、Default Domain Controllers Policy などに設定します。
これにより、ドメイン コントローラー全台に上記の監査を有効にすることができます。

 

[Tips] 監査を有効にすることによる影響

監査の有効化による影響としては、セキュリティ ログに書き込まれるイベントの数が増えることが挙げられます。セキュリテイログなどのイベントビューアーに記録される各ログは、最大サイズを超えると古いログが消去されるため、環境によっては数時間しか取得できないといった場合があるかもしれません。その場合は、「オブジェクト アクセスの監査」や「プロセス追跡の監査」などの非常に多数のイベントが記録される監査が有効になっていないか確認します。もしも「オブジェクト アクセスの監査」や「プロセス追跡の監査」が有効になっている場合は、アカウントロックアウトの調査のために無効化することも検討してみてください。

 

[Tips] アカウント ロックアウトに関わるイベント ID

Windows Server 2008 以降のドメイン コントローラーでは、アカウント ロックアウトに関連するイベントとして、下記の ID のイベントが記録されます。

ID 4740  ユーザー アカウント ロックアウト
ID 4771  Kerberos 事前認証失敗 (Kerberos 認証の場合)
ID 4776  資格情報の確認 (NTLM 認証の場合)
ID 4625  アカウント ログオン 失敗 (NTLM 認証の場合、アクセス内容によっては記録されない場合があります)
ID 4767  ユーザー アカウントのロック解除

 

STEP2:  認証元の特定

アカウント ロックアウトが発生したら、ドメイン コントローラーのセキュリティ ログより、対象のユーザー アカウントがアカウント ロックアウトしたことを示す ID 4740 のイベントを確認します。

ID 4740 のイベント

成功の監査,2014/10/29 7:22:40,Microsoft-Windows-Security-Auditing,4740,ユーザー アカウント管理,”ユーザー アカウントがロックアウトされました。サブジェクト:
セキュリティ ID:        SYSTEM
アカウント名:        W2008R2-01$
アカウント ドメイン:        CONTOSO
ログオン ID:        0x3e7

ロックアウトされたアカウント:
セキュリティ ID:        S-1-5-21-1343024091-746137067-725345543-3875
アカウント名:        User01                   <—– ロックアウトされたアカウント名

 

続いて、「アカウント ロックアウトが発生した時刻より以前のイベント」を確認し、対象のユーザー アカウントが誤ったパスワードを送信したことを示すイベントを確認します。

例えば、Kerberos 認証の場合は下記のような ID 4771 のイベントが記録されます。

ID 4771 のイベント

2015/02/02 09:49:33,Microsoft-Windows-Security-Auditing,4771,Kerberos 認証サービス,”Kerberos 事前認証に失敗しました。アカウント情報:
セキュリティ ID:  S-1-5-21-2091960205-3512297593-4257928271-1126
アカウント名:  User01

サービス情報:
サービス名:  krbtgt/contoso

ネットワーク情報:
クライアント アドレス:  :10.34.25.200   <—– 送信元の IP アドレス
クライアント ポート:  61904

追加情報:
チケット オプション:  0x40810010
エラー コード:  0x18                    <—– 0x18 は誤ったパスワードを使用して認証をしたことを示します。
事前認証の種類: 2

 

NTLM 認証の場合は、下記のような ID 4776 のイベントが記録されます。

ID 4776 のイベント

ログの名前:         Security
ソース:           Microsoft-Windows-Security-Auditing
日付:            2015/02/02 10:22:19
イベント ID:       4776
タスクのカテゴリ:      資格情報の確認
レベル:           情報
キーワード:         失敗の監査
ユーザー:          N/A
コンピューター:       W2008R2-SP1-07.contoso.com
説明:
コンピューターがアカウントの資格情報の確認を試行しました。認証パッケージ:      MICROSOFT_AUTHENTICATION_PACKAGE_V1_0
ログオン アカウント:            User02
ソース ワークステーション:   WIN7-SP1-02    <—– 送信元のコンピュータ名
エラー コード:       0xc000006a               <—– 0xc000006a は誤ったパスワードを使用して認証をしたことを示します。

上記のイベント ログの中に記録されている送信元を確認し、誤ったパスワードを送信しているコンピューターを特定します。

※ 認証要求が失敗する場合には PDC エミュレーターの役割を持つドメイン コントローラーにも問い合わせるため、同じ認証要求の処理の過程で PDC エミュレーターにおいても失敗の監査が記録されます。その際、PDC エミュレーター側に記録されるイベントログの説明部分に記録されるクライアント アドレスは、認証要求を転送してきたドメイン コントローラとなります。

 

STEP3:  原因の特定

特定したコンピューターの用途 (サーバー、クライアント) を確認し、思い当たるアプリケーションなどが無いか確認します。具体的な確認方法は 第一回 をご覧ください。もしも、アカウント ロックアウトの原因を特定できない場合は、原因と考えられるアプリケーションを一つずつアンインストールを行い、現象が発生しなくなるかどうか確認する方法が有効です。

第三回 ではアカウントロックアウトの調査に役立つツールを紹介します。

 

「コミュニティにおけるマイクロソフト社員による発言やコメントは、マイクロソフトの正式な見解またはコメントではありません。」


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