こんにちは。Windows プラットフォーム サポート担当の名和です。
Windows XP の延長サポートが 2014 年 4 月 8 日に終了するのに続いて
Windows Server 2003 もサポートが、 2015 年 7 月をもって終了となります。
サポート ライフサイクル
Windows Server 2003 から Windows Server 2008 R2 や Windows Server
2012への移行作業を検討されている方も多いのではないかと思います。
今回は、ドメイン コントローラー(DC) の移行作業を行う上で、考慮が必要な点をいくつかご案内をいたします。
1. ドメイン コントローラー移行の方法
Windows Server 2003ベースのドメイン コントローラーをWindows Server 2008 R2 もしくは、Windows Server 2012 へのリプレースする方法についてご案内します。
通常は、H/W の要件などもクリアするために、新しい OS のドメイン コントローラーを既存の環境に追加し、Windows Server 2003 のドメイン コントローラーを降格、撤去する方法を採用されるケースも多いかと思いますので、今回もそれに沿って説明いたします。
手順の概要は、以下となります。
(1) H/W 要件を満たした新しい筐体に Windows Server 2008 R2 もしくは、Windows Server 2012 をインストールする
(2) 既存環境で、スキーマ拡張を行う
※ Windows Server 2012 を追加する場合には、 (3) の手順を実行するのみで自動的にスキーマ拡張が行われますので、(2) の作業を別におこなう必要はありません。
(3) Windows Server 2008 R2 もしくは、Windows Server 2012 上で、[Active Directory ドメイン サービス (ADDS)] のインストールを行う
※ Windows Server 2012 では、”dcpromo” コマンドでの、ADDS のインストールができないため、 [サーバー マネージャー] – [役割と機能の追加] からインストールを行います。
(4) FSMO の機能を追加ドメイン コントローラーに移行する
(5) Windows Server 2003 のドメイン コントローラーで、”dcpromo” コマンドで、ADDS の機能のアンインストールを行う
(6) Windows Server 2003 を撤去する
2. 移行に関する影響
Windows Server 2003ベースのドメイン コントローラーをWindows Server 2008 R2 もしくは、Windows Server 2012への移行に関しての影響については、いろいろ考慮する点はありますが、今回はグループポリシーの観点に着目してみます。
Windows Server 2008 以降、グループ ポリシーの設定値が大きく追加されています。
ドメイン コントローラーをWindows Server 2008 R2 もしくは、Windows Server 2012へ移行した場合、それまでに設定していたグループ ポリシーの設定情報を引き継ぎます。
そのため、通常は、追加で設定を行う必要はありません。
しかし、[グループ ポリシー 管理 エディター (GPMC)]
で GPO を確認すると、設定値に矛盾があるような記載となっている項目があります。
一見、混乱を招く記載となっているのですが、見た目上の問題のみで設定値に差異はなく、Windows Server 2003 のドメイン コントローラーの 設定値を引き継いでいます。
(1) [暗号化ファイル システム (EFS) を使用したファイルの暗号化]
Windows Server 2003では、既定の状態で、[暗号化ファイルシステム (EFS) を使用するファイルの暗号化を許可する] にチェックが入っています。
グループ ポリシーの設定情報として関連するレジストリは設定されず、結果として EFS を利用できるという状態になります。
この設定は、Windows Server 2008 R2 、Windows Server 2012の [暗号化ファイル システム (EFS) を使用したファイルの暗号化] の [未定義] と同等です。
- Windows Server 2003 の設定画面
[コンピューターの構成] - [Windows の設定] - [セキュリティの設定] - [公開キーのポリシー] - [ファイルシステムの暗号化] - [暗号化ファイルシステム (EFS) を使用するファイルの暗号化を許可する]
既定値:チェック ON
- Windows Server 2012 の設定画面
[コンピューターの構成] - [ポリシー] - [Windows の設定] - [セキュリティの設定] - [公開キーのポリシー] - [暗号化ファイル システム (EFS) を使用したファイルの暗号化]
既定値:[未定義]
[暗号化ファイル システム (EFS) を使用したファイルの暗号化]: [有効] とした場合、より詳細に、EFS の利用に関するオプションが指定できます。
元々 Windows Server 2003 では有効としているのにも関わらず、未構成と同じ状態であったことが問題点としてあり、それを Windows Server 2008 以降で修正した結果、生じている事象になります。
この件につきましては、英文とはなりますが公開情報があります。
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参考情報
EFS may not be enabled expectedly after you disable a policy and this policy turn
off the EFS feature
http://support.microsoft.com/kb/960050
(2) [自動登録のポリシー]
公開キーのポリシー/自動登録の設定のポリシーも、 Windows Server 2003 R2 において既定の状態 (以下の状態) の設定は、
Windows Server 2008 R2 の [証明書サービス クライアント - 自動登録] のポリシーにて [未構成] を選択した状態と同等になります。
- Windows Server 2003 の設定画面
[コンピューターの構成] - [Windows の設定] - [セキュリティの設定] - [公開キーのポリシー] - [自動登録の設定]
既定値:
- [証明書を自動的に登録する] 有効
- [有効期限が切れた証明書を更新、保留中の証明書を更新、及び破棄された証明書を削除する] チェック オフ
- [証明書テンプレートを使用する証明書を更新する] チェック オフ
- Windows Server 2012 の設定画面
[コンピューターの構成] - [ポリシー] - [Windows の設定] - [セキュリティの設定] - [公開キーのポリシー] - [証明書サービス クライアント - 自動登録]
既定値:未構成
- 参考資料
Misleading Autoenrollment Settings in Group Policy Management Console and Gpedit Tool
http://support.microsoft.com/kb/2018984
各OS にて、設定可能な GPO の値の一覧について、纏めた資料です。
Group Policy Settings Reference for Windows and Windows Server
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=25250
Windows Server 2003 のサポート終了まで残りわずかとなりましたが、引き続き、弊社製品を何卒よろしくお願いいたします。
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