皆様、こんにちは。Windows プラットフォームサポートの大日方です。
今回は、フォルダー リダイレクトのルート パスを IP アドレスからホスト名に変更するとフォルダーが削除される現象について説明させていただきます。
具体的には、以下の環境で、同一のサーバーにおいてルート パスの指定を IP アドレスから、ホスト名に変更を行うと、ユーザーのログオン時にグループ ポリシーが適用されたタイミングでファイルが削除される現象が発生します (ホスト名から、IP アドレスに変更した場合にも同様です)。削除されるのは、[設定] タブにあります、"マイ ドキュメントの内容を新しい場所に移動する" の設定が有効 (チェックあり) であることが原因です。
[環境]
- ドメイン コントローラー
- ファイル サーバー (リダイレクト先)
- クライアント
[設定内容]
- [ユーザーの構成] - [Windows の設定] - [フォルダ- リダイレクト] - [マイ ドキュメント] のプロパティ
[ターゲット] タブ
- 設定: 基本 - 全員のフォルダーを同じ場所にリダイレクトする
- 対象フォルダーの場所: ルート パスの下に各ユーザーのフォルダーを作成する
- ルート パス: \\<IP アドレス>\ファイルサーバ上の共有フォルダ
[設定] タブ
- ユーザーにマイ ドキュメントに対して排他的な権限を与える: 有効
- マイ ドキュメントの内容を新しい場所に移動する: 有効
- ポリシーの削除: ポリシーが削除されたとき、フォルダーを新しい場所に残す
"マイ ドキュメントの内容を新しい場所に移動する" の設定はリダイレクト先のサーバーをサーバー A から、サーバー B というように変更する場合を想定しておりますが、この設定が有効な場合、サーバー A からサーバー B に情報がコピーされた後に、サーバー A 上からは、ファイルが削除されます。
今回は実際には同じサーバーに対して、IP アドレスからホスト名に変更を行っておりますが、OS としてはリダイレクト先が変更されたと判断し、同一サーバー上で、ファイルのコピーと削除が順を追って実施されることになります。その結果、最後に削除の作業が行われるため、ファイルが削除されてしまいます。
動作の流れをまとめますと以下のとおりとなります。
- グループ ポリシーの設定で、フォイルダー リダイレクトのルートパスの設定を IP アドレスから、ホスト名に変更します。
- クライアントから一旦ログオフし、再度ログオンします。
- クライアントにポリシーが適用されるタイミングで、現在の情報を自身に対してコピーします。
- コピー完了後、最後に自身に対して削除処理を行います。
- リダイレクト先が同じであるため、結果として、ファイルが削除されてしまいます。
なお、解決策としては、"マイ ドキュメントの内容を新しい場所に移動する" の設定を無効 (チェックなし) に変更ください。これにより、最後に削除が行われる動作 (上記の 4) が行われなくなります。"マイ ドキュメントの内容を新しい場所に移動する" の設定を無効にし、仮に サーバー A とサーバー B の 2 台のサーバーが存在する場合は、ファイルが切り替え前のサーバー A 上にも残った状態になります。